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鉄欠乏性貧血 |
135 |
291 |
ビタミンB12欠乏性貧血 |
21 |
36 |
葉酸欠乏性貧血 |
12 |
12 |
腎性貧血 |
5 |
23 |
多血症 |
14 |
24 |
骨髄繊維症 |
1 |
2 |
白血球減少症 |
9 |
12 |
白血球増加症 |
7 |
7 |
特発性血小板減少症 |
15 |
28 |
本体性血小板血症 |
5 |
6 |
慢性骨髄性白血病 |
12 |
11 |
慢性リンパ性白血病 |
3 |
2 |
悪性リンパ腫 |
27 |
29 |
多発性骨髄腫 |
31 |
29 |
骨髄異形成症候群 |
10 |
21 |
血友病 |
4 |
9 |
再生不良性貧血 |
2 |
2 |
人の血液には赤血球(酸素の運搬)、白血球(殺細菌)、血小板(止血)の3種類が存在し、
それぞれの異常を来す疾患があるとともに、どの1つが多くても少なくても体には良くなく、様々な症状をきたす。 |
貧血:赤血球の減少によっており、症状としては、倦怠感、易疲労感、めまい、傾眠、頭痛、耳鳴り、
動悸などがある。
原因としては |
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食事摂取不良、慢性的な出血(多量な生理や痔などからの出血)や慢性炎症により赤血球を作るのに不可欠な鉄分がなくなり造血障害がおこる。治療は鉄剤の内服となるものの胃部不快感などの症状がでる場合は点滴による治療をする必要がある。検査は血清鉄とフェリチンの値にて原因を鑑別することができる。 |
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何らかの原因にて赤血球が破壊され貧血がおこる。色々な原因疾患があるため、精密検査が必要。特に黄疸や血尿がある場合は早急な治療が必要であり、治療はほとんどの場合ステロイド剤となる。 |
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胃切除後やアルコールの多飲によっておこる。治療としてはビタミン剤の投与。 |
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腎臓の機能の低下に伴って発症。治療は腎臓の保護とエリスロポイエチンの投与となる(おおむね2週間に一度程度)。貧血の改善は腎臓の保護にも役立ち人工透析への期間を延長することができる。 |
多血症:赤血球が増加する疾患。(ヘモグロビン値;
男性>18.5g/dl、女性>16.5g/dl)
赤血球が増加するために血管内が詰まりやすくなり、動脈血栓症を合併しやすい。原因としては腫瘍性のものからストレス性や生活習慣まで様々。
治療としては血栓予防の為に副作用のない瀉血をまずおこなうが頻回な場合は少量の抗がん剤(内服)を使用することがある。特に高齢者では血栓症のリスクが高いために注意が必要。 |
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治療としては血栓予防の為に副作用のない瀉血をまずおこなうが頻回な場合は少量の抗がん剤(ハイドレアを内服)を使用することがある。ハイドレアは他の抗がん剤に比べ副作用が非常に少ない。特に高齢者では血栓症のリスクが高いために注意が必要。血栓症の防止のために少量のアスピリンを用いる。無治療では平均生存期間は6〜18ヶ月であるが、適切な治療を受けた場合平均生存期間は9年以上である。 |
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高血圧症、高脂血症、高尿酸血症、喫煙、アルコール多飲者に発症する為、それぞれに対する加療が必要。 |
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真性赤血球増加症 |
ストレス赤血球増加症 |
脾臓腫大 |
あり |
なし |
白血球増加 |
あり |
なし |
血小板増加 |
あり |
なし |
ビタミンB12 |
増加 |
正常 |
エリスロポイエチン |
低下 |
正常 |
JAK2変異 |
あり |
なし |
増加症:ほとんどが感染症に伴うものであり感染源の検索が必要であるが、時に白血病などの悪性腫瘍の可能性もあるため次第に増加する場合や感染源が不明な場合は早急な精密検査が必要。 |
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細菌・真菌・ウイルスなど。リンパ節が腫大している場合は特種なウイルスの可能性があり精査が必要。 |
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悪性腫瘍であり、急性と慢性がある。急性の場合は無菌室にて早急な入院加療が必要であり骨髄移植を行う場合もある。 |
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リンパ節腫大・脾腫を伴う場合が多く、無治療にてまずは経過観察となることが多い。 |
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以前は骨髄移植が唯一の完治できる治療法であったが最近の新薬にて不治の病からほとんど完治する疾患となった。
治療薬としては、最近まではイマチニブであったが、最近2種類の新薬(ダサチニブ・ニロチニブ)の出現により、より寛解するまでの期間が短縮された。現在では3種の治療薬があり患者さんの状況にて使い分ける。しかし、これらの薬は継続的に服用する必要があり、妊娠中の使用の安全性は確立していない。(当院でも治療中に妊娠が判明したため投薬を中止し無事に健康な赤ちゃんを出産することができた患者さんがみえますが、妊娠後期に白血病の再発を認め出産後速やかに母乳の中止と治療薬の開始にて寛解に至った方がみえます。妊娠を希望される場合は主治医とよく相談の上での計画的な内服治療中止が必要です。)高額な医療費が必要な治療をいつまで継続する必要かが議論の中心となっている。韓国では政府が医療費負担をおこなっており患者さんの負担は激減した。日本でも政府の速やかな対応が期待されます。 |
いつまでグリベックは必要か?
慢性骨髄性白血病は以前では不治の病でしたが特効薬であるグリベックが発売され、現在95%以上の方が長期生存が期待できる疾患となりました。
次の問題はいつまで薬を内服しないといけないか?です。
非常に高価な薬のため長期服薬中の患者さんにとっては重要な問題となっています。
ヨーロッパのグループでのグリベックの中止試験の報告では。
1)2年以上の完解を続けている患者さん100人に投薬を中止した場合に40人が再発をきたした。
2)再発はほとんどが1年半以内であった。
3)再発は男性の方が多かった。
4)再発早期にグリベックの再投与にて再び完解になった。
今後は再発する可能性のある患者さんはどのような方だったのかの解析が必要です
この解析からはグリベックを積極的に中止しても安全であるとの検証はできませんでしたので、やはり安易な中止は控えるべきであると考えます。
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骨髄での血液産制に異常をきたし、異型性を持つ細胞が作られる病気です。
病態によって病期が分類され、比較的予後の良いものは定期的な検査から予後不良群(白血病へ移行)では抗がん剤の投与までさまざまです。
最近では予後不良群に対して従来の強力な抗がん剤よりも副作用のない新薬が発売され、従来では入院加療しかできなかった方も外来で治療可能となっています。また、ある種の染色体異常(5番、8番)を持つ場合はサリドマイドも有効とされています。 |
@ |
ウイルス感染に伴うもの。感染症状の改善とともに改善。 |
A |
薬剤による副作用(頻度の多いものとして甲状腺治療薬や抗リウマチ薬など)。早期に薬剤中止が必要。 |
D |
血液悪性腫瘍やがんの骨転移によるもの。
などがある。白血球減少症は細菌に対して易感染状態であり(特に好中球数1000/ul以下)、一度感染がおこると致死的状況になる場合があるため、速やかな対応が必要。 |
増加症:血小板数 45万/ul
以上
さまざまな原因があり、その原因を検索する必要がある。徐々に進行する場合は血小板増加症が考えられる。治療は病因の加療が必要であるが、血小板増加症の場合は血栓を防止するため瀉血や抗血小板剤の投与にて血栓を防止する。それでも増加する場合はハイドロキシ ウレアなどの抗がん剤(内服薬)にて血小板数をコントロールする必要がある。治療に用いられる薬剤は抗がん剤とはいうものの脱毛や気分不良などはほとんど見られず副作用などの心配なく使用可能である。使用数%は白血病へ移行するため注意深い観察が必要である。
最近、血小板増加症の原因遺伝子の一つであるJAK2異常に対する新薬が開発され脾腫をともなう例における臨床試験が開始された。 |
Wolanskyj AP, et al. Mayo Clin Proc 2006 |
減少症:血小板数10万/ul以下
日常生活には5万以上あれば問題なく経過観察で良い。ただ、その原因の検索は必要。最も多く見られる疾患として、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)がある。5万以下で出血傾向のある場合には治療が必要となる。
ITPとは国の難病指定であり診断が付き次第に難病申請をすることにより医療助成をうけることができる。
原因は未だはっきりしていないものの自己免疫が関与している可能性が示唆されている。
治療法として、
@ステロイド剤の投与、Aピロリ菌の除菌、B脾臓の摘出、Cガンマーグロブリンの点滴投与などがある。最近では新薬(分子標的薬)もあり治療は患者さんの年齢や生活状況などによって決められることが多い。 |
@ |
Monoclonal gammopathy of undetermined significance
(MGUS) |
|
多発性骨髄腫様の血液検査結果をしめすものの良性腫瘍とされている。年に約1%の頻度で多発性骨髄腫に移行するものの、本疾患から骨髄腫へ移行した例では治療反応性がよいとされているため、定期的な検査が必要(最低6か月に1度程度)。 |
|
治療しなければ生存は半年以内とされる骨髄腫(Multiple Myeloma: MM)患者の全生存期の延長が最近のさまざまな新薬の登場にて飛躍的に延長した。そかしながら、未だ完全治癒を期待できる治療法はない。さまざまな治療法があるもののMMの病態は多様性であり、患者さんの状態や年齢により適切な治療法を選択すると共に合併症を併発しない工夫が必要である。 |
1) |
メルファラン+プレドニン(MP)療法:副作用が少なく高齢者では使用されることが多い。 |
2) |
サリドマイド療法:治療抵抗性の患者さんに有用であることがある。副作用として神経障害がある。 |
3) |
ボルテオゾム:2006年に発売。神経障害が多く、大量デキサメサゾン併用の場合は高齢者では感染症の合併が多いとされている。神経障害を軽減するために、最近では時間をかけてボルテオゾム点滴をしたり皮下注射をすることが多い。 |
4) |
レナリドマイド:2009年の発売。サリドマイドによく似た薬であり、再発・難治性の場合使用されることが多く神経障害はサリドマイドより少ないものの大量デキサメサゾン併用の場合は高齢者では感染症の合併が多いとされている。神経障害を軽減するために、最近では時間をかけてボルテオゾム点滴をしたり皮下注射をすることが多い。 |
5) |
大量メルファラン+自家骨髄移植(1回もしくは2回):65歳以下で全身状態の良好な患者さんの生存期間を延長する。 |
自家幹細胞移植(ASCT)後の再発多発性骨髄腫に対する高用量化学療法+
ASCTによる地固め療法:無作為化非盲検第III相試験 -高用量化学療法+
ASCTは無増悪期間を改善
High-dose chemotherapy plus autologous stem-cell transplantation
as consolidation therapy in patients with relapsed multiple
myeloma after previous autologous stem-cell transplantation (NCRI
Myeloma X Relapse [Intensive trial]): a randomised, open-label,
phase 3 trial.
Lancet Oncol. 2014 Jul;15(8):874-85.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24948586 |
出血を止める役割を持つ蛋白質の一部が生まれながらにして低下している疾患です。低下しているタンパク質にて血友病A(第8因子の低下)、血友病B(第9因子の低下)とフォン・ヴィレブランド病(フォン・ヴィレブランド因子の低下)があります。
2008年の統計では血友病Aが約4000人(血友病の65%)、血友病Bが約900人(血友病の約14%)そしてフォン・ヴィレブランド病が約900人(血友病の約14%)と報告されています。
重症度 因子または因子活性 症状
重症: 1%以下 関節内や筋肉内出血が頻回におこり関節変形をきたす
中等度:1-5% 同様な症状をきたすが頻度は少ない
軽度: 5%以上 外傷のときのみ止血が困難 |
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基本的に欠如した因子製剤を注射にて投与することにより止血は可能となるが、
投与方法として、
@オンデマンド療法:必要時のみ注射をする。
A予備的補充療法:必要時意外に運動会や遠足など運動量の多い日にはその日の朝に注射をおこなう。
B定期補充療法:出血の状況とは関係なく定期的に注射をおこなうことにより、関節内出血を予防し将来の関節変形を防ぐ。
どの方法が良いかは各患者さんの日常生活状況や希望によって決める場合が多いが、当院ではBを推奨している。 |
6)骨髄増殖性疾患(Myeloproliferative neoplasms:
MPN) |
以前までは骨髄増殖性疾患 (chronic myeloproliferative
disease)と呼ばれていましたが、最近の研究により
遺伝子異常がこの疾患の本体であることがわかり、腫瘍という位置づけとなりました。
この疾患は赤血球系、白血球系もしくは血小板系のどれかが異常に増加します。
いくつかの遺伝子異常を検索することが大切であり、その異常および病態に応じた治療が必要となります。
最近、新薬も本邦で発売され、以前にもまして治療の選択肢が増えたことは喜ばしい事ですが、未だに完治できる薬はないのが現状です。
適切な時期に適切な薬の使用が合併症や病気の進行を遅らせるために大切となっています。
以下は、最近の診断・治療の概略です。
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JAK2, CALR, MPL遺伝子変異検査
von Willebrand因子活性 |
慢性骨髄性白血病 |
真性多血症、本体性血小板血症、骨髄繊維症 |
BCR/ABL阻害薬 |
瀉血、アスピリン内服、ヒドロキシカルバミド、
ルキソリチニブ、アナグレリド |
Somatic Mutations of Calreticulin in Myeloproliferative
Neoplasms: Klampft T et al. N Engl J Med 2013 |
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